印鑑証明代理は登録・証明書発行の両方OK

自動車の購入や土地の売買などで必要なのが印鑑登録証明書ですが、登録手続きを行うためには平日日中に住所地の市区町村役場へ足を運ぶ必要があります。ただし、平日日中に時間が取れない場合でも、一定の条件を満たすことで代理人に手続きを頼むことが可能です。

代理人への手続きの頼み方や必要書類、注意点について解説します。

はじめに、印鑑登録の仕組みと印鑑登録証明書の役割について知っておこう

印鑑登録は、市区町村役場(自治体)が作成する住民基本台帳によって印鑑所有者本人の住民登録を確認後、自治体の印鑑条例に沿って登録可能な印鑑であるかどうかを審査した上で行われます。その手続きを経て登録された印鑑は実印として、押印した人のなりすましが重大な問題を引き起こす手続き、特に法的な権利・義務が発生する手続きや多額の金銭の受け渡しを伴う手続きの中で重要な役割を果たすことになります。

実印の印影が表示された印鑑登録証明書は、登録した印鑑が本人所有であることと同時に、印鑑所有者本人の氏名・住所・生年月日を公的に証明する書類として機能します。また、印鑑登録手続が完了後、本人に対し印鑑登録証が発行されます。

印鑑登録証明書の発行時には必ず印鑑登録証の提出が求められ、実印を押印した書類原本と印鑑登録証明書とがセットで権利・義務が発生することになります。予期せぬトラブルから自分や財産を守るためには実印と印鑑登録証の保管場所を別にしておくことをおすすめします。

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急いで印鑑登録を行う必要はない~印鑑登録証明書が必要な場面は限られる~

日本国内では、様々な場面で印鑑の押印が求められますが、その中でも実印の押印が求められる手続きは限られているのが現状です。身近といえる手続きは、次の3種類です。1つ目は、賃貸住宅の連帯保証人になる場合です。

契約者(入居者)の家賃支払が滞った際に、連帯保証人宛に家賃請求を行うことを承諾するという意思を確認することが目的です。2つ目は、保険金や共済金の請求手続きを行う場合です。保険会社や共済団体が定める金額を超えるときや、代理人が請求手続きを行うときに提出が求められます。

数百万・数千万円の保険金や共済金を、確実に本人や相続人へ支払うことが目的です。3つ目は、軽自動車以外の自動車の購入・売却・廃車の手続きを行う場合です。自動車は「動く」資産として位置づけられていて、自動車税の納税や車検の手続きなど様々な法的義務が伴います。

その義務を持つ人を確定することが、印鑑証明書の目的です。なお、現金一括払いで自動車を購入した場合でも、印鑑証明書の提出が必要です。その他、土地・建物(不動産)の売買や住宅ローンの契約、相続の手続きにも印鑑登録証明書が求められますが、多くの人には一生に数回程度の出来事でしょう。

そのため、すぐに印鑑登録を行う必要はなく、手続きの場面が訪れてからでも遅くないといえます。

代理人に印鑑登録手続きを頼むために、自分で準備しておくこと

印鑑登録証明書が必要な場面が訪れたけれど、本人が印鑑登録に市区町村役場(役所)へ行くことができない場合は、代理人に頼んで登録申請を行うことが可能です。法的な権利・義務が発生するベースとなる手続きとなるため、信頼できる人物を代理人に選ぶことが大切です。

代理人に手続きを頼む前に、次の2つの準備をしておきます。1つ目に、実印として登録する印鑑を用意します。100円ショップで販売されているような三文判は、他人が簡単に入手できるため避けることが無難です。

また、ゴム印は変形する可能性が高いため登録対象外となります。2つ目に、役所所定の印鑑登録申請書と委任状(印鑑登録を委任することを明記します)に本人と代理人両方の住所・氏名・電話番号を記載し、登録したい印鑑を鮮明に押印します。

押印の際は、かすれたりにじんだりしないよう気をつけましょう。

加えて、本人の生年月日も印鑑登録申請書に記載します。印鑑登録申請書と委任状の書式は、役所のホームページでダウンロードするか、郵送で請求します。準備が整ったら、登録する印鑑・印鑑登録申請書・委任状を代理人に預けます。

また、代理人が役所に印鑑登録申請書を提出した後、2~5日程度で役所から照会書(回答書・確認書)が届きます。印鑑登録者本人が署名・押印した照会書と委任状を代理人に預け、印鑑登録証の受取りを依頼します。委任状には、照会書(回答書・確認書)の提出と印鑑登録証の受取りを委任することを明記します。

印鑑登録者の氏名を確認できる書類も必要ですが、比較的使用頻度が低い年金手帳や健康保険証を預けるのが無難です。印鑑登録証の発行手数料が必要な場合には、その料金も預けておきます。

代理人が行う手続き

代理人が印鑑登録申請と印鑑登録証の受取りを行う場合は、日を変えて2回役所に行くことになります。

手続きに必要な時間は、待ち時間を含めて30分~1時間程度ですが、3月下旬~4月中旬の転居シーズンには長時間の待ち時間が発生するので、緊急の申請でなければ他の時期の対応をおすすめします。

1回目の手続きは印鑑登録手続きで、役所の印鑑登録窓口(ほとんどの場合は住民課)に印鑑登録申請書と委任状を提出します。手続きの中で、印鑑登録申請書に押印した印影と印鑑の実物確認があるため、登録する印鑑も一時的に窓口担当者に預けますが、代理人の本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)の提示を求められた場合には、それに応じます。

2回目の手続きは印鑑登録証を受け取る手続きで、印鑑登録者本人宛に届いた照会書と委任状を役所の印鑑登録窓口に提出します。その際、登録する印鑑と代理人の認印、印鑑登録者の氏名を確認できる書類が必要なので忘れないようにしましょう。

印鑑登録証を受け取った後、印鑑登録証明書の発行手続きが可能となります。なお、印鑑登録証を受け取った直後でも発行手続きは可能です。

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印鑑登録証明書の発行を代理人に頼む場合

印鑑登録証明書の発行も、代理人による手続きが可能です。この場合は印鑑登録証を代理人に預けることになりますが、登録証を預けること自体が自分の意思によるものという考え方から、委任状は必要ありません。印鑑登録証明書の発行手数料も預かった上で、役所の窓口で請求することになります。

請求申込書は役所に備え付けてあり、代理人が記載しても構いません。マイナンバーカードによる証明書コンビニ交付サービスを実施している自治体の場合でも、窓口で印鑑登録証明書を請求する際は印鑑登録証での手続きとなるので、依頼する人・代理人ともに覚えておきましょう。